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【基礎解説】水道水のトリハロメタンって?残留塩素とは?

2022.07.01

日本では水道法4条の下、水質基準に関する省令(厚労省)で規定された基準をクリアした安全な水が供給されています。

基本的には水栓から出てくる水をそのまま飲んでも問題ないと言われていますが、それでも気になるのが「トリハロメタン」などの有害物質の存在です。

また令和4年4月1日には、水道水の水質基準が改正され、とくに「農薬類」についてお客様よりお問い合わせをいただくようになりました。

水道水に含まれるこれらの有害物質について、今回はトリハロメタンを中心に基礎解説します。農薬類の改正について気になる方は、記事末尾に加筆しましたので、よろしければご一読ください。

トリハロメタンとは?

まず「メタン」とは、炭素原子1つの周囲に4つの水素原子が結合している物質です(※上図の左)。

そして「トリハロメタン」とは、メタンの4つの水素原子のうちの3つが、ハロゲン原子(塩素や臭素)に置換した化合物を指します。3つなので「トリ」、ハロゲンの「ハロ」、「メタン」です(※上図の右)。

トリハロメタンにはいくつか種類があり、置換のされ方によって以下のように生成されるものが異なります。

トリハロメタンの種類(総トリハロメタン)

水道水の水質基準においては、トリハロメタンのうち以下の4種類が「総トリハロメタン」として厚生労働省によって定められています。

  • クロロホルム
  • ブロモジクロロメタン
  • ジブロモクロロメタン
  • ブロモホルム

これら4つの物質の濃度は、合算して測定されます。

総トリハロメタンの発がん性

世界保健機関(WHO)の一機関である国際がん研究機関(IARC)によると、クロロホルムおよびブロモジクロロメタンは、「発がん性が疑われる」化学物質(グループ2B)に分類されています。

また、ジブロモクロロメタンおよびブロモホルムは、「発がん性が分類できない」化学物質(グループ3)に属します。

これらの上位グループには、「発がん性が認められる」化学物質(グループ1)と、「発がん性がおそらくある」化学物質(グループ2A)がありますが、総トリハロメタンのいずれも上位グループには指定されていません。
※発がん性の分類について日本語で解説を読みたい場合、以下の農林水産省のHPがわかりやすいでしょう。
参考:「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について」(農林水産省)

このようなIARCの研究結果などを参考にして、日本の水道水の水質基準は定められています。

総トリハロメタンの水質基準

令和2年4月1日より施行されている水質基準は以下のとおりです。

項目基準
総トリハロメタン0.1mg/L以下
クロロホルム0.06mg/L以下
ブロモジクロロメタン0.03mg/L以下
ジブロモクロロメタン0.1mg/L以下
ブロモホルム0.09mg/L以下

※参考:「水質基準項目と基準値(51項目)」(厚生労働省)

水道水にトリハロメタンが生じる原因

水道法に基づき、水道事業者は水道水を塩素消毒する義務があります。これは「衛生上必要な措置」として浄水場で実施されていますが、消毒用の塩素は水中の有機物と反応し、トリハロメタンを生成してしまいます。

トリハロメタンは消毒副生成物

消毒によって生成される副産物は「消毒副生成物」と呼ばれ、現在に至るまで国際的に問題視されています。とくにアメリカでは1960年代に消毒副生成物による水汚染公害の被害が拡大し、社会問題にまで発展しました。

その代表的な生成物がトリハロメタンで、水中に存在するフミン質などの有機化合物と塩素が反応することで生成される仕組みです。

水道水における残留塩素の濃度

水道法施行規則17条(昭和32年の厚生省令)に、残留塩素は以下のとおり規定されています。

給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg/l(結合残留塩素の場合は、0.4mg/l)以上保持するように塩素消毒をすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水の遊離残留塩素は、0.2mg/l(結合残留塩素の場合は、1.5mg/l)以上とする。

最低濃度は上記のとおりですが、上限に定めはありません。

多量の塩素が投入されている可能性がある

トリハロメタンが生じることからわかるように、塩素は水道水に含まれる有機物やその他の還元性の物質に反応して消費されていきます。つまり、配水管を通過して家庭の水栓に向かえば向かうほど、残留塩素の濃度は低くあらわれます。

しかし水道法施行規則により「給水栓における水」の残留塩素濃度を保持する必要があるため、浄水場では法令に記載のある数値以上の、想像以上に多量の塩素が投入されています。

これらがトリハロメタンを生み出す原因ですが、衛生状態を安全に管理する都合上、避けられないものと言えます。

トリハロメタンを除去する方法

トリハロメタンを除去するには、ご家庭の給水栓に浄水器を設置することをおすすめします。

浄水器の種類によっては残留塩素を取り除くことしかできないものもあるため、トリハロメタンを100%近く除去できる性能を持つ浄水器を選びましょう。

浄水器のMULTIPURE(マルチピュア)

トリハロメタンによる水汚染公害の拡がった1960年代のアメリカで、人々の健康を守るために創設されたのがMULTIPURE(マルチピュア)です。

世界で初めてブロック活性炭の実用化に成功し、トリハロメタンをはじめとした最大104項目の有害物質を除去する技術を生み出しました。ぜひ一度、MULTIPURE(マルチピュア)のブランドの歩みも覗いてみてください。

【令和4年】水道水の水質基準等の改正(農薬類について)

令和4年4月1日より、水道水の水質基準が改正されました。

改正にともない「水道水に含まれる農薬の緩和」という言葉が先行してしまい、水道水に含まれる農薬が増えるという印象を得たり、水道水に意図的に農薬が入れられるという勘違いが横行したりする事態が発生しています。まずは正しい情報から確認しましょう。

①目標値が変更されたもの

項目旧目標値新目標値方針
「ホスチアゼート」0.003 mg/L0.005 mg/L緩和
「クロロピクリン」0.003 mg/L新規
「ウニコナゾールP」0.04 mg/L0.05 mg/L緩和

②分類が変更されたもの

農薬名「イプフェンカルバゾン」について、要検討農薬類から、対象農薬リスト掲載農薬類に引き上げが実施されました。なお目標値に変更はありません。

③その他の見直し

農薬名「メチダチオン」について、従来はメチダチオン(原体)のみの検査でしたが、メチダチオンと「オキソン体」とセットでの検査対象に改正されました。

今回の改正に対するMULTIPUREの除去範囲

項目除去可否
「ホスチアゼート」
「クロロピクリン」
「ウニコナゾールP」
「イプフェンカルバゾン」
「メチダチオン」
「オキソン体」

「オキソン体」については、現状では検査を実施しておらず、除去可否に言及できない状態です。除去効果がわかり次第、発表させていただきます。

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